DREAM MAGAZINE

「ランタン・パレードへの10の質問」

interviewed by keiichi sokabe
photo by tadashi matsugi

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質問6
「自分にとって音楽をつくるということは?」

曽我部 何なんだろう? 日記? 記録・・・。
清水 何でしょうね、何か残したいんですかね、単純に音楽が好きっていうのもあって自分なりに。でも創作意欲ってどこから出てくるかわからないんですけど。
曽我部 何か理想的なミュージシャンの像とかってありますか?
清水 理想とかは特にないですけど、MADLIBのインタビューがすごい感動しました。「いい音楽を作るのに高品質の機材はいらないことを証明したい」とか、<サウンド&レコードマガジン>のインタビューだったんですけど、曲のストックもむちゃくちゃあるんですよ、いろんな名義で。「昨日もレコードで15万使った」とか「自分はリー・ペリーみたいなダーティーな存在でいたいとか」いちいちなんかグッときたというか。格好いいな、こいつとか思って。
曽我部 侠気というか音楽気というかなんか格好いいですよね。MADLIBみたいに名義をいろいろ使って・・・。
清水 いや、それは嫌ですね、全部Lantern Paradeにしたいですね。
曽我部 なるほどね。


質問7 「聴き手にのぞむことは?」
曽我部 1stアルバムの時って誰が聴くかもわかんないし、全然見えない状態で、まあとにかく出ますよっていう感じじゃないですか。で、それとまたシングルが出て例えばラジオでかかったりリアクションがあったりするのって全然違うじゃない?
清水 基本的には僕、出るだけでいいんです。出てお店に並んでるだけでこうちょっと満足してる部分ありますね、はい。いろいろ曲作っていろんなとこに送り続けて何も反応なくてもうダメなのかなっていう気持ちをずっと抱えてきたんで、もうお店に並んでるだけで・・・。
曽我部 わかります。でもさらにさ、それを聴いて「良かったです」とかさっきもメール来てたけど、こういうリアクションとかあるとうれしいですよね。
清水 信じられないですね。
曽我部 ライヴで自分の曲を歌いたいと思わないのはどうしてですか?
清水 いや、ライヴをやりたくないというわけじゃなくて、今のところライヴでやりたいなと思う曲がないんですよ。まあ、「甲州街道はもう夏なのさ」とかはやれるかなとか思う曲なんですけど。
曽我部 じゃあ、やらないぞっていうわけじゃないんだ。
清水 あ、はい。でも疲れるんですよね、普段仕事して録音もやって、ライヴをやるとなったらスタジオで練習するわけじゃないですか。体力的にも気持ち的にも結構辛いなあと。ぼーっとゆっくりする時間がないと。
曽我部 ぼーっとゆっくりは今はできてるの? 家で?
清水 あ、はいできてますね。仕事終わってから。
曽我部 家帰って何かぼーっと音楽聴きながらとか?
清水 すごい慌ただしいのとかはちょっと無理っすね。
曽我部 なるほど。今のペースで作品もガンガンできてるし、多分今のペースだからガンガンできてるんだろうね。今すごい良いバランスなのかもね、ひょっとしたらぼーっとする時間がこれ以上すっごい増えちゃったらどうなんだろう?
清水 あ、増えたらもっと曲作るかもしれないですね(笑)。
曽我部 あ、わかりました(笑)。


質問8 「歌うことについて」
曽我部 好きなシンガーとかいるんですか?
清水 声がいいなあと思ったのは、ケニー・ランキンとかいいなあと思いましたね。
曽我部 それはやっぱり自分と照らし合わせて、自分の何となく理想とするところに近い感じ? ケニー・ランキンはすごいソフトじゃないですか。
清水 でもああなろうというのはないんですね。
曽我部 ベンシ・シドランは?
清水 ベンシ・シドランはあんまちゃんと聴いたことないですね。
曽我部 例えばジャニスみたいにもう熱を込めて歌う、とか。
清水 ああ、でもそれはそれで好きです。
曽我部 でも自分が向かうところはもっと淡々とした・・・。
清水 でも結局出来ないなと思うんですよね、例えばマーヴィン・ゲイみたいにすっごいきれいな声で上手く歌うとか無理だな、とか。結局自分でもできるものとかなると、ジョアン・ドナートとか。ああ、下手でもいいんだ、って。そんなに高い声とか出なくても。
曽我部 音域もそんなに狭くても大丈夫。そういう意味ではボサノヴァの人たちっていうかブラジルの淡々と歌う美学に近いものがありますね、ランタン・パレードは。
あ、俺も歌えるんだって思ったのは? 例えばハードコアの時は叫ぶわけじゃないですか。今はわりときれいに歌ってるわけじゃないですか、それはジョアン・ドナート?
清水 そうですね、あとヒップホップでもMADLIBがプロデュースしたものですごくボソボソ歌ってるのがあって。いわゆるR&Bみたいなものじゃなくて、これならできるな、と。
曽我部 ラップをやろうとは思わないんですか? 
清水 ちょっとありますけど無理かなあと。
曽我部 語りはありますよね、俺すごい好きなんだけどタミーのあの語りが。なかなか語りは難しいんですよ、何が難しいって日本語の場合だと感情の置き方が難しいと思うんですよ。感情過多になると恥ずかしいし、かといって淡々としちゃうと熱がないし、だからけっこうタミーのポエトリーの在り方はすごいいいバランスだと思う。
清水 ありがとうございます。
曽我部 ポエトリーはどんどんやっていきたい?
清水 でも詞がなかなか書けないですね。
曽我部 ポエトリーだけのアルバムも作ってください(きっぱり)。
清水 (笑)うーん…それは無理っぽいなあ。
曽我部 やっぱり歌がいいんだね、メロディが。この「皆 単調のメロディが好きなのだねえ!」っていうのはどういう意味なんですか?
清水 これはみんな切ないものが好きなんだなあという単純なものですね。「ね?」じゃなくて「ねえ!」って。
曽我部 やあ、このアルバムは素晴らしい。どの曲にも心に残るパンチラインがあって。
清水 パンチライン(笑)・・・


LANTERN PARADE
「LANTERN PARADE」
2005.7.25 リリース
ROSE RECORDS/ROSE23
¥2,000(tax in)

1.希望とは
2.心象風景
3.ランタンパレードがやってくる
4.君が口笛を吹くなら
5.甲州街道はもう夏なのさ
6.囁き 吐息
7.回送列車が行く
8.とりあえず まだ
9.胸の奥が狂おしいほどに
10.その刹那
11.ヴィヨンは歌った
12.瞳の中に
13.待ち人
14.あなたと同じ気持ち
15.ほんのすこしだけ
16.光
17.木漏れ陽を一匙
18.ラストを飾るサンバ
(全18曲)


ROSE RECORDS ONLINE SHOP
(全曲試聴できます)
ランタン・パレード
 ディスコグラフィへ
質問9 「あなたにとってパンクとは?」
曽我部 ハードコアやってるときもメロディがきれいなものが好きだった?
清水 や、そういうわけでもなかったですね、ただもう激しいものが好きだったし。何ですかね、一見めちゃくちゃだけどなんかちゃんとした曲の構成が実はあるみたいなところに惹かれたのかなあって。
曽我部 今の在り方っていうのはハードコアの自然な流れに延長線上にあるわけ? それとも一度ハードコアパンクっていうものに見切りをつけた上での今なわけ?
清水 見切りをつけたわけではないですね。ただ、うーん・・・。
曽我部 自分の中で自然に音楽に接していく中で今のスタイルになった?
清水 何ですかね、ハードコア・パンクにボサノヴァ取り入れても絶対だめじゃないですか。絶対いいものにはならないから。
曽我部 (笑)けっこう無理のあるものになるかも、でもスウィング・キッズなんかはジャズを取り入れちゃったでしょ。
清水 それはまだ合う・・・それで何を取り入れる要素があるのかなって考えたらヒップホップやサンプリングミュージックかなと思って。
曽我部 じゃあ、俺は今日でハードコアをやめようっていうのはなかったんだ。
清水 そうですね。
曽我部 わかりました。自分がパンクだっていうのはありますか?
清水 ないですね。「音楽はポップでも精神的にはパンクでいたい」っていうのは嫌いですね。


質問10 「希望とは」
曽我部 じゃあ最後の質問、これからの展望、希望。
清水 まあ今と変わらず・・・
曽我部 音楽で生計を立てれる、音楽1本の生活って何となく楽しいと思う?
清水 そうなれたとしてもずっとは続けられないじゃないですか。
曽我部 一つだけ何かこうなれたらいいっていうのがもしあるとしたら何ですか?
清水 このまま健康で・・・(笑)音楽・・・
曽我部 生きていきたい、長生きしたい? 自分の人生全うしたい?
清水 そうですね、長生きってただ寝たきりで長生きしてもそれは嫌だし、手足動いて楽器弾けて、耳聞こえて、あまりひもじい思いとかはせずにこのまま楽しく生活できたらいいなって。
曽我部 今そのまっただ中にいる?
清水 そうですね、だから自分はほんと恵まれてるなあという気持ちが強いですね。
曽我部 「欲しがることができてよかった。やりたいことがやれているなら」と。
清水 そこで思うのがニック・ドレイクだったり、『漫画家残酷物語』とか読んだりして。生きてるうちには全く評価されなかった人たちのことに思いを馳せて。自分もそうかもしれないけど、それでもやりたいこと、夢中になれることがあるから幸せだな、という気持ちですね。


希望とは
やれ 土曜の夜だ やれ 日曜の夜だとか
今夜はギターが口ずさむんだ 初夏の香りを
希望とはあやふやな根拠の 健気で ささやかな
期待のことをいうのでしょうか だから それは
そんなには輝かしくはないのでしょうか
FUN FUN FUN 不安 FUN FUN FUN



月と東京の間に捕われてしまおう
誰もが歌にした気持ちを御他聞に漏れず
僕もまた
出会いの先に待つ別れ悲しみがなければ喜びはない
「今」がもうすでに「今」じゃないよ ここはそういう場所なんだ
そして消えない光がある だけど消えない光がある


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