DREAM MAGAZINE
DREAM MAGAZINE #11  page4/6
緊急討論会

批判を閉ざしてしまうと、本当のことじゃない(曽我部)

曽我部 ネット上でのコミニュケーション、意見の交換を、もうちょっとスムーズにうまく出来るようにするには、どうすればいいと思いますか? 例えば、BBSに「誹謗中傷はやめてください。他のバンド云々はやめてください。以下のことが守れる方のみお入りください」って書いておけば、ある程度は統制が取れますよっていう意見もあった。そうすれば、こっちがルールに反した書き込みを削除出来るっていう。でも俺は、「この曲はよくねーよ」とかの誹謗中傷も含めてあったらいいと思ってBBSをやってるんだよね。だってそうじゃん。それが重要じゃない?
宮本 でも、批判的なことも書いていいですよって曽我部さんは言うけど、実際に批判的なことを書かれたら嫌になっちゃうと思うんですよ。「万人が見ている中で発表しなくてもいいじゃん」みたいな。そういう時に、人間が嫌いになったり、今やっている仕事が愛せなくなったりすることだってあるかもしれない。それはそれで嫌だなって、僕は思うんです。
曽我部 確かに、すごくリスキーな面はあると思う。どこの誰かがわからない人、男子か女子かもわからない、おじいさんかおばあさんか、十代の若者かもわかんない誰かに、自分についての批判なり悪口なり根拠のないデマなりを言われることは、恐怖以外の何ものでもない。でも、自分の名前を出して商売をしている以上は、それはありなのかなって思ったりもするのよ。もちろん、どこの誰かわからない人が褒めてくれることもある。でも、その向こうには、どこの誰だかわからない人が、「お前なんか嫌いだよ」って書いていくことがあるのかなと思っていて。そこを閉ざしてしまうと、本当のことじゃないんじゃないかなぁって思っちゃうんだよね。

人に見せるための表現を越えたい時がある(曽我部)

宮本 もう一回ライヴの件なんですけど。
曽我部 うん。
宮本 あの日のライヴって、一生懸命やってたかもしれないけど、結果としては歌えてないっていうのがあって、言い方は悪いですけれど、期待外れっていう感じだったんです。その期待外れを楽しめる人もいれば、楽しめない人もいる。最初は曽我部さんが日記でどんなふうに書くかを楽しみに待っていたんだけど、書かれなくてモヤモヤ感がどんどん増えてきて。そこで、BBSがどんどん重苦しい空気になってしまった。
曽我部 ネット上で日記を書くことや逐一BBSの質問に答えていくことに、何か疑問を感じていた時期なんだよね。毎日日記を書いたり、BBSで誰かに返事を書くのは楽しかったんだけど、今回のタイミングでは、そういう気持ちになれなくて書くことが出来なかった。なんで自分がネット上の表現から離れてしまったのかなぁ?って考えるんだけど、正直あのアキバの事件とかあってから、ネットやメールで自分の本意を伝えることから遠ざかりたいなぁという気持ちがあったんだと思う。その気持ちを日記に書こうかとも思ってたんだけど、それさえもインターネットの中の日記っていう場所に落とし込まれていって、その世界での出来事になるなぁっていうのがあって。だったら、日記に落とし込む前に、いいことでも悪いことでも自分で抱えちゃおうっていう気持ちがあった。「今日はカレーが美味しかった」とかっていうことも今までは日記に書いてたけど、それをちょっと止めて自分の心に置いておいて、誰か会った人に言えばいいし、ライヴのMCで言えばいいしって。本来の日記って、「くそーっ! 悔しい! こんなの嫌だ」とか「すっごいつらい」とか、「すっごい好き」とか「嫌い!」とかそんなことを書くものだと思うんだけど、俺も含めたミュージシャンの日記って、ファンが求めているものに対して向こうが求めているものに対してうまくミュージシャン側がイメージを与えて、なんかお互いにわかったようになるツールになっている気がした。俺も他人からこう見られたいって気持ちはあるし、「なんかうまく日記を利用して、うまくやっている奴だな」と自分でも思ったし。だから今は、本当の自分をどうやって出していくかっていうことに対して迷っていた時期でもある。
宮本 僕はあの日記好きなんです。楽しみなんですよ。
曽我部 でも、“本当の俺”とは違うのよ。誰にも見せることのない日記だったら、「あいつのこと殺してやりたい」とか「あの子のことが大好きだ」とか書くと思う。
宮本 狙って書いてるって思ったら、あんまり読みたくなくなるかもしれない。
曽我部 狙ってるってわけでもないんだよね。エンターテインしちゃってる。
宮本 僕は、音楽のついていない歌詞みたいだなって思って読んでた。銀杏BOYZの「峯田日記」とは違う感じだなって。
曽我部 「峯田日記」も自分を人に見せるための表現だとは思うよ。ただ俺は、人に見せるための表現を越えたいなっていう時がある。あるがままの自分がポロッと出て、それが自分の表現だって思いたい時がある。それが難儀だね。それが今なのかもしれない。


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